日本人には難しい?K-1やPRIDEとは全く違うUFCの『判定基準』
では、その勝敗至上主義のUFCの中で「勝つ」ためには何が必要なのでしょう?
それはUFCの『判定基準』に沿った戦い方をすることです。
なぜならUFCの試合のうち約半分は判定決着となっており、その判定基準にのっとった形で闘いを進めないと、いざ判定になったときに泣きを見ることになるからです。
ちなみにUFCの判定基準はニュージャージー州のアスレチック・コミッションが定めるガイドラインに従っています。
※ニュージャージー州アスレチック・コミッションとは…
アメリカ合衆国ニュージャージー州内におけるボクシング・キックボクシング・総合格闘技などの徒手格闘技の競技を統括・管理する委員会組織。1985年設立。ニュージャージー州アスレチック・コントロール・ボードとも表現される。
UFCなどで採用されている総合格闘技の統一ルールは同委員会により作成されたものであり、以後は他の州のアスレチック・コミッション等でも採用され、現在はアメリカ、カナダ等の北米地域の多くの総合格闘技大会における共通したルールとして運用されている。
Mixed Martial Arts Unified Rules of Conduct Additional Mixed Martial Arts Rules 《←ガイドラインの原文(英語)》
このページの下部に記載しているのがそのガイドラインの中で判定基準に関する項目についての抜粋です。
英語をそのまま直訳したものなので、そのままだと解釈が難しい部分があります。
なのでこれをUFC公式HPに掲載されているデータ項目と照らし合わせることで、UFCがこのガイドラインをどう解釈し判定の際にどこの部分をどう採択しているのか、をうかがい知ることができます。
以下がその要約となります。
判定基準①【テンポイントマストシステム】
ジャッジは3人。テンポイントマストシステムによりラウンド勝者には10ポイントが必ず与えられ、
両者で全くの互角の場合、10-10
片方が僅差で勝利の場合、10-9
片方が圧倒している場合、10-8
片方が完封している場合、10-7
の採点がラウンド毎に与えられます。
判定基準②【6つの加点要素】
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●着弾した重い打撃の数[打撃]
●成功したグラップリングテクニックの数[組技] ↑上位の加点要素
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●着弾した全打撃の数[打撃] ↓下位の加点要素
●打撃ディフェンス[打撃]
●コントロール[組技]
●テイクダウンディフェンス[組技]
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※上段2つが重要性上位の加点要素、下段4つが重要性下位の加点要素となります。
※末尾に[打撃]とあるのが打撃の加点要素、[組技]とあるのが組技の加点要素となります。
【各加点要素 詳細】
・着弾した全打撃の数= 有効打数。スタンディング(ニュートラルポジション)状態で着弾した打撃の大半。およびクリンチ・グラウンド状態でコントロールしてる側の強打。
・成功したグラップリングテクニックの数=成功したテイクダウン・パスガード・スウィープおよびサブミッション(試み)の合計数
・着弾した全打撃の数=有効打数+非有効打。非有効打→クリンチ・グラウンド状態でコントロールしてる側の弱打。およびコントロールされている側からの打撃。
・打撃ディフェンス=打撃回避率。敵の空振り÷(敵の空振り+敵の有効打)
・コントロール=クリンチで敵をフェンスに押し付けてる状態、グラウンドで上になっている状態での経過時間
・テイクダウンディフェンス=テイクダウン回避率。
判定基準③【上位と下位の加点比率】
上位の加点要素は下位のものより加点比率が高くなります。
判定基準④【打撃と組技の加点比率】
打撃と組技の加点比率はスタンドとグラウンドの時間比率に準じます。
例えば
時間比率で「スタンド:グラウンド=2:1」の場合、打撃加点が組技加点の2倍になります。
時間比率で「スタンド:グラウンド=1:2」の場合、組技加点が打撃加点の2倍になります。
ちなみに参考までに下記がガイドラインの直訳になってます。
ニュージャージー州アスレチック・コミッションのガイドライン(判定部分の抜粋 ※直訳)
(a)全ての試合は3人のジャッジにより評価・採点されます。
(b)10ポイントマストシステムは試合採点における標準的なシステムです。10ポイントマストシステムではそのラウンドの勝者には10ポイントが必ず与えられ、敗者には9ポイントかそれ以下が必ず与えられます。但し、稀にある全く互角のラウンドについては10-10と採点され例外とされる。
(c) 審査員は総合格闘の技術を
・効果的な打撃
・効果的なグラップリング
・ファイティングエリアの制御
・効果的な積極性と防御
などについて評価する
(d) 評価は上記cに記載される順序の得点にて重点がおかれます。
・効果的な打撃
・効果的なグラップリング
・ファイティングエリアの制御
・効果的な積極性と防御
(e) 効果的な打撃は…
対戦相手から着弾した合法的な重い打撃の総数を決定することにより判定される。
(f) 効果的なグラップリングは…
・合法的なテイクダウン
・合法的な反転
の成功した実行の量を考慮することで判定されます。
考慮すべき要素の例として
・スタンディングからマウントへのテイクダウン
・マウントへのパスガード
・下になっているファイターが使用する活発かつ威嚇的なガード
があります。
(g) ファイティングエリアのコントロールは…
誰が戦いにおける
・ペース
・位置
・ポジション
を指令しているかを決定することにより判定される。
考慮すべき要素の例として
・グラップラーのテイクダウンの試みに対し、立った姿勢を残すこと及び合法的な打撃で対処すること。
・対戦相手にグラウンドの闘いを強制するテイクダウン
・威嚇的なサブミッションの試みを作り出すこと
・マウントを成し遂げるためのパスガード
・打撃の機会を作り出すこと
(h) 効果的な積極性とは…
・前に向かって動くこと
・合法的な打撃を着弾させること
を意味する。
(i) 効果的な防御とは…
攻勢の攻撃に対処している間に
・打たれること
・テイクダウンされること
・反転されること
を回避することを意味する。
(j)次の公平な採点基準は、ジャッジがラウンドを採点する際に利用されることとする
1.両方の競技者が互角に戦っているように見え、どちらも明確な優位性を示せなかった時、そのラウンドは10-10ラウンドとして採点されるものとする。
2.1人の競技者がより多くの効果的・適法な打撃の着弾やグラップリング、その他の工作によって僅差の勝利をしたとき、そのラウンドは10-9ラウンドとして採点されるものとする。
3.1人の競技者がそのラウンド内で打撃かグラップリングによって圧倒的に優位を占めたとき、そのラウンドは10-8ラウンドとして採点されるものとする。
4.1人の競技者がそのラウンド内で打撃かグラップリングによって完全的な優位を占めたとき、そのラウンドは10-7ラウンドとして採点されるものとする。
(k)ジャッジはファイターたちがスタンディングかグラウンドどちらであるかの時間の長さを認識し、次のとおりスライド制を用いるものとする。
1.もし総合格闘者がラウンドの大半をキャンバス上で費やした場合、
i. 効果的なグラップリングが最初に計量され、そして
ii. 効果的な打撃がその後に計量される。
2.もし総合格闘者がラウンドの大半をスタンディングで費やした場合、
i. 効果的な打撃が最初に計量され、そして
ii. 効果的なグラップリングがその後に計量される。
3. もしスタンディングとキャンバスの闘いが比較的同量でラウンドが終了した場合、打撃とグラップリングは均等に計量されます。