UFCの『勝敗至上主義』

 

勝利こそすべて!UFCのファイトマネーが表す徹底的な『勝敗至上主義』

  

過去にK-1やPRIDEを見ていた日本の格闘技ファンがはじめてUFCの試合を見たとき、

「展開が地味で、単調に見える」

「明らかに劣勢に見えた方のファイターが判定で勝利になった」

などと感じた方は少なくないんじゃないでしょうか。

 

その違和感を作り出している最も大きな要因がUFCにおける

『勝敗至上主義』『判定基準』

の2つの価値基準でしょう。

  

エンターテイメント性よりもスポーツ性に重点を置くUFCでは、派手な戦い方で「試合をスウィングさせる」ことより、たとえ戦い方は地味でもとにかく「勝利する」ことのほうが重要視されます。

 

UFCのそういう性格を最もよく表しているのがUFCのファイトマネーの形態です。

 

下記は一例としてイベント「UFC189」の各選手のファイトマネーを列挙したものなのですが…

 

『UFC 189: Mendes vs. McGregor』ファイトマネー

 

コナー・マクレガー    50万ドル(勝利ボーナスなし)
チャド・メンデス     50万ドル

ロビー・ローラー     30万ドル(勝利ボーナス15万ドル込み)
ローリー・マクドナルド  5万9000ドル

ジェレミー・スティーブンス7万2000ドル(勝利ボーナス4万ドル込み)
デニス・バミューデス   3万4000ドル

グンナー・ネルソン    5万8000ドル(勝利ボーナス2万9000ドル込み)
ブランドン・ザッチ    2万2000ドル

トーマス・アルメイダ   2万4000ドル(勝利ボーナス1万2000ドル込み)
ブラッド・ピケット    3万ドル

マット・ブラウン     9万2000ドル(勝利ボーナス4万6000ドル込み)
ティム・ミーンズ     2万3000ドル

アレックス・ガルシア   3万ドル(勝利ボーナス1万5000ドル込み)
マイク・スウィック    4万8000ドル

ジョン・ハワード     4万2000ドル(勝利ボーナス2万1000ドル込み)
カハル・ペンドレッド   1万ドル

コディ・ガーブラント   2万ドル(勝利ボーナス1万ドル込み)
ヘンリー・ブリオネス   1万ドル

ルイス・スモルカ     3万ドル(勝利ボーナス1万5000ドル込み)
ニール・シーリー     1万5000ドル

コディ・フィスター    2万ドル(勝利ボーナス1万ドル込み)
ヨスデニス・セデーニョ  1万3000ドル

 

…と、見てのとおりメインイベント以外のすべての試合の勝者側に(勝利ボーナス●万ドル込み)と言った表記が見られますね?例えばセミファイナルのロビー・ローラーを見てみると

ロビー・ローラー     30万ドル(勝利ボーナス15万ドル込み)

と書いてあります。

これはロビー・ローラーの今回の試合については

基本ファイトマネーが15万ドル(約1800万円)

そして勝利ボーナスが15万ドル(約1800万円)

ということを意味し、つまり勝てばファイトマネーは「倍」。勝ったか負けたかで、もらえるファイトマネーに1800万円もの差が出てしまうわけです。

 

この極端でわかりやすい成果給がいかにもアメリカ的という気がしますね。

日本の格闘技団体でファイトマネーについてこんな形態をとっているところはないでしょう。


そうなれば当然ファイターとしても、『勝っても負けてもいい試合をする』なんてことは言ってられなくなります。

たとえどんなに泥臭い地味で単調な戦い方でも『とにかく勝てばいい』という気持ちに当然なりますよね?

観客が喜ぶような派手に相手をブッ倒してのKOでも、ポイント稼ぎに終始したつまらない判定勝利でも、勝ちさえすればとりあえず2倍のファイトマネーは手に入るわけなんですから。

 

そしてこのファイトマネー形態がUFCの『勝敗至上主義』的な傾向を作り出してる大きな要因と言えるでしょう。