それでは最後に試合結果データの見方を説明します。
すでに前頁で紹介した戦績データでファイターの戦力を出すうえでメインの上位加点要素(有効打数、テイクダウン数、サブミッション数、パスガード数)のデータは採取できました。
そしてより下位の加点要素のデータまでも得るためにはこの試合結果データを用いる必要があります。
まずは下の画面のイベント名のどれかをクリックしてみましょう。 ⇒⇒⇒ ①をクリック
そうするとそのイベントの試合結果データが表示されます。
そして画面右半分で見たい試合を選びます ⇒⇒⇒ ②をクリック
さらに画面左上の「ライブ統計」の文字をクリックします ⇒⇒⇒ ③をクリック
※約2年以上前のイベントは試合結果データが消去されるため、ライブ統計の文字は表示されません。
そうすると選択した試合の試合結果データが下記の画面のように表示されます。
試合結果データ(フルラウンド)
ここで取り入れるデータは
・全打撃数
・有効打/attempt
・テイクダウン数/attempt数
の3つです。
全打撃数は前頁で説明した通り有効打+非有効打の数値です。
そして有効打数の下に小さい文字でof~と表示されている数字がattempt(試み)です。
有効打数をattempt数で割った数値がその下に~%と表示されている命中率になります。
判定の際の加点要素の中にディフェンス(回避率)があります。
100%からこの命中率を引いた数が対戦相手の回避率となるので、もしAの命中率を上げればその対戦相手Bの回避率を下げることになるわけです。
つまり命中率と回避率は表裏一体、加点要素としてはほぼ同意義ということになります。
それはテイクダウンの成功数とテイクダウンattempt数においても当てはまることになります。
ポジション獲得時間(コントロール時間)
そして最後に画面右下に表示されるポジション獲得時間(コントロール)についてです。
この表はその試合の全ラウンドを通じて、どちらがどれほどの時間、優位なポジションで相手をコントロールしていたかを示すものです。
表の左から
・グラウンド(左のファイターがグラウンドで上位の体勢だった時間)
・クリンチ(左のファイターが相手をフェンスに押し付けていた時間)
・ニュートラル(スタンディングで離れていた時間)
・クリンチ(右のファイターが相手をフェンスに押し付けていた時間)
・グラウンド(右のファイターがグラウンドで上位の体勢だった時間)
の順番で表示されています。
そしてこの表はファイターの戦力分析をする上で次の2つのことを決定づけます。
①そのファイターのコントロール優位性
②そのファイターにおける打撃:組技の加点比率
まず①についてですが、
ポジション獲得時間(コントロール)は組技属性のなかではグラップリングテクニックに次ぐ加点要素となってます。
たとえば左ファイターのコントロール優位性を測るためには、まず左ファイターのグラウンドとクリンチのコントロール時間を足します。これがこの試合における左ファイターの総コントロール時間となります。
そしてこの総コントロール時間を右ファイターの総コントロール時間と対比することで左ファイターのコントロール優位性を出すことができます。
次に②についてですが、
これはファイターの総合戦力を占ううえでよりウェイトの高いものとなります。
なぜならそのファイターの打撃における優位性、組技における優位性を各々出せたとして、そのあとに総合的な優位性を決定するときには、この打撃:組技の加点比率が大きく関わってくるからです。
例えば、打撃が得意で組技が不得意というファイターAがいたとします。
当然このAは打撃の優位性は高く、組技の優位性は低いものとなります。
それではAの総合的な優位性はどうなるでしょうか?
例えばAが総試合時間のうち90%をスタンド(ニュートラル+クリンチ)で費やしたとします。
その場合、打撃の加点比率はスタンドの時間量に比例するので、打撃の優位性が90%の割合で重要視されることになります。
つまりAの総合的な優位性は高く評価されることになります。
では逆にもしAが総試合時間のうち90%をグラウンドで費やしたとしましょう。(※そのグラウンドポジションにおいての上位・下位は問いません。)
その場合、組技の加点比率はグラウンドの時間量に比例するので、組技の優位性が90%の割合で重要視されることになり、Aの総合的な優位性は低く評価されてしまうことになります。
つまり、打撃が得意なAの立場になったら、試合中は少しでもスタンドの時間を長く保つことが総合的な加点を高めることに繋がるわけです。
試合結果データ(ラウンド別)
この試合結果データはに載っている数値は最初はフルラウンド通しての数値が表示されます。
ラウンド選択のボタンがあるので試しにラウンド1を選択してみます。⇒⇒⇒ ④をクリック
そして画面右上にある「ファイト・リズム」をクリックしてみます⇒⇒⇒ ⑤をクリック
そうすると↓のようなファイトリズムの画面が表示されます。
時間軸的には表示の上の方からスタートして、下に向かうという形です。
ファイト・リズム
赤くて明るいゲージ(あ)は左ファイターの着弾(有効打&非有効打)
赤くて暗いゲージ(い)は左ファイターの空振り を
青くて明るいゲージは右ファイターの着弾(有効打&非有効打)
青くて暗いゲージは右ファイターの空振り を指し示しています。
白い線はファイター2人のポジションの変移を時間経過と共に表しています。
中央がニュートラルの状態で、白い線が左右に大きく振れるほど、振れた側のファイターが優位なポジションになったことを意味します。
尚、ポジションをニュートラルからより優位なポジションへとLv.0~8で分けてみます。
Lv.0…ニュートラル(a)
Lv.1…クリンチコントロール(b)
Lv.2…インサイドガード(c)
Lv.3…ハーフガード(f)
Lv.4…ミスクグラウンド(e)
Lv.5…サイド(d)
Lv.6…マウント(g)
Lv.7…バック(↑の表には載ってないが、gよりさらに左に寄った状態)
それではこのファイトリズムを見て、試合の展開を一緒に追ってみましょう。
まずラウンドの開始、当然、ファイター2人のポジションはニュートラルでスタートします…(表a)
ゲージを見るとこの状態で赤が3発打ってるのがわかります。2発は空振り、1発は着弾したようです。
開始から10秒を経過したあたりで白い線が右に振れたのがわかりますね?
これは右のファイターが優位なポジションを取ったことを意味しています。
右への振れ幅はLv.1相当なので、これは相手をフェンスに押し付けている状態、右のファイターがクリンチコントロールをしている状態にあることを意味します。…(表b)
この状態の間に青の着弾ゲージがあるので右ファイターはフェンスに押し付けながら一発打撃を入れたようです。
そして開始20秒を過ぎたあたりで左ファイターが逆転、テイクダウンの「TD」の矢印が左ファイターについているのがわかります。
そしてポジショニングを示す白線も大きく左に振れてます。
左ファイターはテイクダウンをとったと同時に一時的にはLv.4のミスクグラウンドの状態にまでなりましたが、そのあとは振れ幅Lv.2のインサイドガードの状態を約30秒ほどキープしてます…(表c)
さらにこのインサイドガードの間、左ファイターは10発の打撃を打ち、6発が着弾しているのが赤いゲージを見てわかります。
そして左ファイターはインサイドガードからLv.5サイドポジションに移行しました。…(表d)
サイドポジション以上はその状態になっただけでコントロールしているファイターに「パスガード」が1カウント増えるため、左ファイターはここで大きな加点を稼いだことになります。
そのあとにLv.4ミスクグラウンドという状態に移行しました。(表e)
ミスクグラウンドとは直訳すると「種々雑多なグラウンド状態」をさします。
ミスクグラウンドはポジションの優勢レベルはハーフガードとサイドポジションの間とされています。
このポジションはサイドポジションに比べ、ポジションキープの安定性に欠ける反面、身体同士が相手と離れているために有効打を与えやすい利点があります。
そしてこのポジションの最中に左ファイターは多くの打撃を相手に着弾させたようです。
そのあと少しの間のガードポジションを経て、Lv.3ハーフガードの状態に移行しました。(表f)
ハーフガードは安定しやすくその状態をキープしやすいポジションです。
但し、身体が密着状態にあるため、打つ打撃は非有効打としてカウントされやすい傾向にあります。
そしてハーフガードの体勢から相手のガードから足を引き抜き、一気にLv.6マウントポジションに移行しました。(表g)
このマウントポジション、そのの有効性は特にMMA創世記のころは絶対的なものと思われていて、いったんそのポジションに入られたらもう逆転不可能、その時点でほぼ勝負アリとも言えるほどのイメージでした。
しかし現在のMMAの世界においては、その逃れ方を熟知してるファイター同士の戦いではそれほど安定性のあるポジションとは言えません。ただ、UFC判定基準ではこの状態になるだけでパスガードが加点されますし、さらにこのポジションからの打撃はほとんどが有効打としてカウントされます。